『冒険する組織のつくりかた』で組織マネジメントの常識が覆された話

書籍レビュー

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『冒険する組織のつくりかた』レビュー:この本の概要

今回は安斎勇樹著『冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』のレビューをお届けする。本書は2025年1月にディスカヴァー・トゥエンティワンから刊行され、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2026」でマネジメント部門賞を受賞した話題作だ。

著者の安斎勇樹氏は、株式会社MIMIGURIの代表取締役Co-CEOであり、東京大学大学院情報学環の客員研究員でもある。具体的には、資生堂、シチズン、京セラ、三菱電機、SmartHRなど350社以上の組織変革に携わってきた実践家だ。

書籍の基本情報

書名冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法
著者安斎勇樹
出版社ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日2025年1月26日
ページ数448ページ

この本を手に取った理由

私Dr.TKは現役医師であると同時に、医療法人の経営者でもある。そのため、日々の課題は「組織をどうマネジメントするか」に集約されることが多い。しかし、従来型のトップダウン組織論では、多職種が連携する現場で限界を感じていた。

そんなとき、ビジネス書グランプリのマネジメント部門賞を受賞した本書の存在を知った。「軍事的世界観を抜け出す」というサブタイトルに強く惹かれた。なぜなら、医療現場はまさに「指揮命令系統を重視する軍事的な組織」になりがちだからだ。

『冒険する組織のつくりかた』の核心:5つの思考法

本書の最大の特徴は、組織が陥りがちな「軍事的世界観」を明確に定義し、それに代わる「冒険的世界観」を5つの思考法で提示している点だ。以下に主要なポイントを整理する。

ポイント1:人を「駒」ではなく「冒険者」として捉える

軍事的世界観では、メンバーは「命令を遂行する駒」として扱われる。一方で、冒険的世界観では個人のワクワクや探究心を包み込む。つまり、人の内発的動機づけを組織の推進力に変えるという発想だ。

特に印象的だったのは、「人を道具化するチーム観の脱却」という表現だ。たとえば、医療現場でも「あの看護師は使えない」という言葉が飛び交うことがある。しかし、本書はその発想自体が組織の停滞を生むと指摘している。

ポイント2:「世界観のズレ」が組織問題の根本原因

マネジャーのしんどさ、経営者の孤独、現場の息苦しさ。これらの根本原因は「世界観のズレ」にあると著者は論じる。したがって、制度やルールを変えるだけでは解決しない。組織メンバーが共有する「ものの見方」そのものを変える必要がある。

この指摘は経営者として腑に落ちた。なぜなら、採用や評価制度をいくら整備しても、根底にある「人の見方」が変わらなければ同じ問題が繰り返されるからだ。

ポイント3:理論と実践の「20のカギ」

本書は理論編と実践編に分かれている。理論編(第1~3章)で世界観の転換を学んだ後、実践編(第4~8章)で「組織を変えるための20のカギ」が紹介される。具体的には、対話の設計や権限委譲の段階的な進め方、チーム内の葛藤の扱い方などが含まれる。

とりわけ実践編は、抽象論に終わらず現場で試せるレベルまで具体化されている。そのため、読んだ翌日から一つずつ試してみることも可能だ。

医師・経営者視点での学び

『冒険する組織のつくりかた』を読んで最も考えさせられたのは、「自分自身が軍事的世界観に染まっていないか」という問いだ。医療は人命を扱うため、どうしても指揮系統を重視する組織文化になりやすい。けれども、それが行き過ぎると現場の創造性や自律性を殺してしまう。

たとえば、リハビリスタッフが新しいアプローチを試したいと思っても、上からの許可なしでは動けない環境ではイノベーションは生まれない。本書の提案する「冒険的世界観」は、安全管理とイノベーションのバランスを取るヒントになる。

さらに、350社以上の事例に基づいている点も信頼できる。ベンチャーから大企業まで幅広い規模の組織で実証されているため、医療法人のような中規模組織にも応用しやすいと感じた。

どんな人におすすめか

本書は、以下のような人に特におすすめだ。

  • チームのマネジメントに悩んでいる管理職やリーダー
  • 組織の硬直化を感じている経営者や事業部長
  • メンバーの主体性を引き出したいと考えている人
  • 従来の組織論に限界を感じているビジネスパーソン
  • 人と組織の関係性を学問的にも理解したい人

一方で、448ページとボリュームがある。ただし、理論編と実践編に分かれているため、まず理論編の第1~3章を読むだけでも十分に価値がある。実践編は必要に応じて参照する使い方もできる。

まとめ:『冒険する組織のつくりかた』レビューの結論

『冒険する組織のつくりかた』は、組織マネジメントの根本的な「ものの見方」を問い直す一冊だ。軍事的世界観から冒険的世界観へのシフトという提案は、業種を問わずあらゆる組織に適用できる。

特に、経営者やマネジャーとして「なぜうちの組織は変わらないのか」と感じている人には、その答えのヒントが詰まっている。また、理論と実践の両面から丁寧に解説されているため、読後すぐに行動に移せる点も魅力だ。

組織づくりに真剣に向き合いたいすべてのリーダーに、ぜひ手に取ってほしい。

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よくある質問(FAQ)

Q. 組織論の初心者でも読める内容ですか?

読めます。専門用語は丁寧に解説されており、具体的な事例も豊富だ。そのため、マネジメントの教科書を読んだことがない人でもスムーズに理解できる。

Q. 448ページは長すぎませんか?

たしかにボリュームはある。しかし、理論編と実践編に分かれているため、まず理論編だけ読んで世界観を掴み、実践編は辞書的に使うという読み方もおすすめだ。

Q. 医療・介護の組織にも適用できますか?

十分に適用できる。著者は350社以上の組織変革を手がけており、業種を限定しない普遍的なフレームワークを提示している。とりわけ、多職種連携が求められる医療・介護の現場とは相性が良い内容だ。

Q. Kindle版はありますか?

はい、Kindle版も販売されている。移動中やスキマ時間に読み進めたい方には、電子版がおすすめだ。

Q. 類似のおすすめ本はありますか?

同じ著者の『問いのデザイン──創造的対話のファシリテーション』は、本書の対話設計の部分をさらに深掘りした内容だ。また、組織文化に関心がある方は『ティール組織』もあわせて読むと理解が深まる。

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