ビジネス書グランプリ2026の総合グランプリを受賞した『億までの人 億からの人』。ゴールドマン・サックスに17年間勤務し、1.2兆円規模の投資を手がけた田中渓氏が、300人以上の超富裕層と接する中で見出した「兆人のマインド」を解説した一冊だ。
結論から言うと、この本は投資テクニック本ではない。しかし、お金に対する「考え方」を根本から変えてくれる良書だった。具体的には、富裕層の思考法・時間管理・人間関係構築まで体系的にカバーされており、経営者としての自分の行動を見直すきっかけになった。
書籍の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書籍名 | 億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド |
| 著者 | 田中渓 |
| 出版社 | 徳間書店 |
| 発売日 | 2024年11月27日 |
| 価格 | 1,870円(税込) |
この本を手に取った理由
私Dr.TKは現役の医師であり、同時に医療法人の経営者でもある。そのため、資産運用と経営の両面で「富裕層の考え方」には強い関心を持っていた。
さらに、本書がビジネス書グランプリ2026で総合グランプリを獲得したという事実も大きかった。なぜなら、数あるビジネス書の中で読者投票によって選ばれた一冊には、それだけの理由があるはずだからだ。
加えて、著者の田中渓氏はゴールドマン・サックスという世界最高峰の金融機関で、マネージング・ディレクターまで務めた人物だ。実際に超富裕層と仕事をしてきた経験に基づく知見は、机上の空論とは一線を画すと感じた。
内容のポイント:5つの学び
1. 「億までの人」と「億からの人」ではマインドが根本的に違う
本書の核心は、資産1億円を「ゴール」と捉える人と「スタートライン」と捉える人の違いにある。具体的には、億までの人は「いかに貯めるか」に集中するが、億からの人は「いかに価値を生むか」に注力するという対比だ。
たとえば、節約だけで資産を増やそうとするのが「億までの思考」であり、自分の時間単価を上げる仕組みを作るのが「億からの思考」となる。したがって、同じ資産額でも、その後の伸び方にはまったく異なる軌道が生まれるのだ。
2. 時間の使い方こそが資産形成の要
田中氏が繰り返し強調するのは、お金より「時間」の重要性だ。とりわけ印象的だったのは、超富裕層ほど朝の時間を徹底的に管理しているという指摘である。
具体的には、起床後の2時間を「ゴールデンタイム」として、最も重要な意思決定やインプットに充てるという習慣だ。一方で、多くの人がこの貴重な時間をSNSチェックやメール返信に費やしている。結論として、富裕層の時間管理術は、経営者の日常にすぐに適用できる実践的な内容だった。
3. 健康への投資はリターンが最も高い
意外に思われるかもしれないが、本書では「健康」に関する章が充実している。なぜなら、超富裕層は例外なく健康管理に投資しているからだ。
たとえば、ランニング、サウナ、ストレッチといった身体メンテナンスを日課にしている人が多い。これは単なる趣味ではなく、集中力と生産性を長期的に維持するための「戦略的投資」だという。現役医師としても、この考え方には強く共感する。
4. 人間関係の「分散投資」という考え方
投資の世界では分散投資が基本だが、田中氏はこの原則を人間関係にも適用している。つまり、特定のコミュニティに偏らず、異なる業界・世代・国籍の人とのネットワークを構築するという考え方だ。
実際に、20カ国以上で300人超の超富裕層と接してきた著者だからこそ、この主張には説得力がある。さらに、人脈を「量」ではなく「質」で評価する視点も新鮮だった。要するに、相互に価値を提供し合える関係こそが、本当の意味での資産になるということだ。
5. 80項目の実践リストが再現性を高めている
本書は6つのチャプターに分かれ、全部で80項目の具体的なアクションが紹介されている。特に優れているのは、各項目が「すぐに実践できるレベル」まで落とし込まれている点だ。
そのため、読み終えた翌日から行動を変えることが可能だ。たとえば、朝のルーティン改善、学びの習慣化、お金の使い方の見直しなど、どれも地味だが再現性が高い。だからこそ、多くの読者に支持されたのだろう。
医師・経営者視点での学び
現役医師かつ経営者であるDr.TKの立場から、本書の学びを3点に整理したい。
まず、「時間単価を上げる仕組みづくり」という考え方は、病院経営にも直結する。具体的には、自分がやるべき仕事と委任すべき仕事を明確に分けることで、経営者としての時間の質を高められる。
次に、健康管理を「投資」と捉える視点は、医療従事者としても重要だ。患者さんに健康の大切さを説く立場にいながら、自分自身の健康管理が疎かになりがちな医師は少なくない。本書はその矛盾に気づかせてくれた。
最後に、人間関係の「分散投資」は、医療業界にこそ必要な考え方だと感じた。なぜなら、医療従事者は同じ業界の人としか接点を持たなくなりがちだからだ。異業種のネットワークを意識的に構築することで、新しいアイデアや経営のヒントが得られる。
どんな人におすすめか
本書は以下のような方に特におすすめだ。
- 資産形成に興味があるが、具体的な投資手法より「考え方」を学びたい人
- 経営者やフリーランスで、時間管理を改善したい人
- すでに一定の資産があり、次のステージに進みたい人
- 富裕層のマインドセットを体系的に知りたいビジネスパーソン
- 自己啓発本を多く読んできたが、実践的なアクションリストが欲しい人
一方で、株式の具体的な銘柄選びやチャート分析などの投資テクニックを求める方には向いていない。とはいえ、投資で成功するための「土台となるマインド」を固めたい方にはぴったりの一冊だ。
まとめ:投資の本質は「お金」ではなく「思考」にある
『億までの人 億からの人』は、投資テクニック本ではない。しかし、お金・時間・健康・人間関係という4つの資産を、どのようなマインドで扱うべきかを教えてくれる貴重な一冊だ。
特に、経営者や管理職など「自分の時間の使い方が組織の成果に直結する」立場の方にとって、本書の80項目は具体的なアクションプランとして機能する。まとめると、ビジネス書グランプリ2026の総合グランプリにふさわしい、質の高い良書だった。
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よくある質問(Q&A)
Q1. 投資初心者でも読めますか?
はい、問題なく読めます。なぜなら、本書は具体的な投資手法ではなく「富裕層のマインドセット」を解説する本だからです。したがって、投資経験の有無にかかわらず、お金に対する考え方を学びたい方なら誰でも参考になります。
Q2. 他のお金の本と何が違いますか?
最大の違いは、著者がゴールドマン・サックスで17年間、実際に超富裕層と仕事をしてきた経験に基づいている点です。具体的には、300人以上の富裕層との交流から得た知見が、80の実践項目として体系化されています。そのため、理論だけでなく実体験に裏打ちされた説得力があります。
Q3. 読み終えるのにどれくらい時間がかかりますか?
読みやすい文体で書かれているため、通常2〜3時間程度で読了できます。また、80項目のリスト形式になっているので、気になる項目だけ拾い読みすることも可能です。
Q4. 経営者向けの内容ですか?
経営者に限らず、会社員やフリーランスの方にも役立つ内容です。ただし、時間管理や人間関係構築に関する章は、特に経営者やマネジメント層に響く内容が多いと感じました。
Q5. 電子書籍版はありますか?
はい、Kindle版も販売されています。紙の書籍は1,870円(税込)で、Kindle版はやや割安です。通勤時間や隙間時間に読みたい方には電子書籍版がおすすめです。


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